小説 [パチプロ風雲録 -青春篇-] |
結局、夜までパチンコを打ち続け、二千五百円の元手は八万円ほどに増えていた。明日パチンコ勝負が行われるというこの店にもすっかり慣れ、どこかホ-ムグラウンドのような感じすらしている。
午後九時過ぎに店を出た。春とは言え、夜になると外はまだ肌寒い。俺は肩をすぼめ、商店街を歩きながら、明日の勝負のことを考えていた。桜子の話ではパチプロと勝負をするらしい。そもそも「パチプロ」ってどんな人なんだろう?初めてパチンコを打った俺でもあれだけ玉を出すことができた。プロだからと言って、本当に強いのだろうか?「強い」って?対戦相手のことが気になるが、これ以上考えても仕方がない。とにかく今日のように打てばいいんだろう。
アパ-トの前まで来て空を見上げた。月明かりで空全体が明るく感じられる。俺は、この勝負がきっかけになって、人生が好転して欲しい!そう強く思う。この先には、きっと何かいい事があるに違いない。